Repair (修復)
☆なるほど、ならあの娘がこの世界を創り上げた。 だから"神さま"と言っている訳かね？いささか傲慢では？ ＊それは本当の事なのさ。だからアイツに俺は全く逆らえない。意のままに、俺は消去される事もあるぜ。だからアイツに媚びを売るしかないと思っていたが...。しかし驚いたな。アイツが"負ける"なんて事は、過去に一度も無かった。 ☆だから私を呼びつけたって訳か。別にミニ四駆じゃなくても...。いや待て。一見子供騙しにも見えるが、経験と直観が大切で、インチキもできないからな。正確には子供騙し"騙し"に不意を突かれたのだろう。 ＊能書きはいい。要はアイツが神ならば、俺は悪魔にされちまったの。アイツが生きる口実に、俺は悪魔にされる。それは何度でもだ。 ホラ、人類の歴史の中で悪魔が一回でも勝った事があるかい？そんなもんだ。 ☆そんなもんかね？いやー、まぁ、ここがあの娘の世界なら確かに仕方がない。人類の歴史はね、勝者が神になるから絶対に神は負けないんだよ。ごく単純な話ではある。 ＊可笑しいよなァ。まぁ俺もアイツに一回でも良いから一泡吹かせたいワケよ。わかんだろ？協力しろって。なぁ、頼むよ。 ☆別にそれは良いですけれど、はいはい。従います。あなたは勝って神になりたいのですね？ ＊アラアラ、嫌な顔すると思ったが意外だな。悪魔に魂を売るんだぜ？これから。 ☆どうせ私もあなたに逆らえないのだろう？神頼みならぬ悪魔頼みだな。まぁ、嫌いじゃない。 ＊そうか。よく言った。じゃあ、早速勝てる方法を教えてくれ。 ☆じゃあ、先ずは丁寧にマシンを組み立てる事からやろう。難しい改造はそれからで良い。 ＊ちょっと待て、俺はガキじゃないんだ。勝てるマシンをオマエが作れよ？ ☆いや、それはレギュレーションに違反するし、マシンのクセを覚えなければあの娘みたいに負ける。ミニ四駆は勝てる理由はよく分からないが、負ける理由はハッキリしているんだ。 ＊何だよそれはよォ。俺は悪魔だぞ、そんな律儀なルールなんざ守れるかよ。 ☆はぁ、まぁ。でもあの娘だって同じ条件でやるのだろう？不平不満なのはよく分かったから協力する気にもなったのだが、生憎イーブンコンディションにするのが精一杯でね。 ＊クソが。まぁいい。五分五分でヤレるんならそれで十分だ。付き合ってやろう。
2022/08/07 22:53:12
