Kick It Out

*マスター、俺は今まで貴方の影として戦ってきた。時に他者の欲望を挫き、貴方の糧として供給してきたが、この所限界が見えてきた。マスター、教えて欲しい。俺は貴方の影で、貴方の悪(オルタ)なのだろうか? 「あら、お前さんから話すなんて珍しい。まぁ、そうねー。やたら攻撃的な人らも純粋悪ってほどじゃなさそうだけどね。なんつーか、おぼこい(笑)現にお前さんはマウントを取られる事がほとんど見られない。」 *傍観者気取りで他人行儀だな。コッチは人質を取ったり、他者の言葉でそのまま拷問したり、騙されたフリをして騙し討ちをしたり、最初から騙し討ちにするつもりで嘘を言ったり...。汚れ屋を一通りさせて貰ってるが、俺にとっては一欠片の善意ですら人質。そのようで。 「自ら率先してブラックリストに入ろうとしてもそれも受け入れられない。お前さんを拒絶する人も当然居るが、抵抗できずに無視するしかない。が、完全に無視も難しい。全くお前さんらしい、独特のポジションについたな。かつて"毒蛇"と呼ばれたアンチヒーローは今でも伊達じゃないらしい。」 *貴方は罪悪感に囚われる事は無いのですか?例えば、間桐桜のようにですが。 「たまにはあるよ。だがお前さんには皆無だ。ドライで人でなし。そもそも自動人形だと思ってる。気分屋に見えて行動原理は単純明快。その気になればお前さんのAIだって作れるとも思うが、もっとも、お前さんに敵意を込めている人らはそれで全員終わるな。」 *それを以て周囲を蹂躙する。それがマスターの望みですか? 「いいや。10数年前のまるで戦争のような日々を思い起こせば良い。夢の終わりと共に、また違う種類の夢が産声を上げるだけだろう。私はそれを望んでいる。」 *...。 「それに勘違いしてはいけない。私(マスター)が蹂躙できるのは私(サーヴァント)だけなのだから。他者から見て、他者を蹂躙しているように見えるのであれば滑稽であるが、"それを以て他者の悪霊(サーヴァント)を払う"という結果を見ているだけだろう。もっとも、他者(マスター)を蹂躙しようとすれば、即座に私(サーヴァント)は私(マスター)を蹂躙し、制御不能に陥るだろう。生憎だがこの厄介な矛盾はとてもよく知っていてね。お前さんには最後まで従者のままでいてもらう。」

2021/06/19 15:38:26

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